夏バテを防ぐ食べ物・飲み物まとめ
— 医療・公的データに基づく実践ガイド
「だるい・食欲がない・朝から疲れている」——それ、夏バテのサインかも。この記事は公的ガイドラインや医学情報をもとに、何を・いつ・どのくらい食べて飲めばよいかを、比較表と献立例でわかりやすく解説します。
先に結論(要点まとめ)
- 飲み物は用途で使い分け:日常=水・麦茶+軽い塩分/発汗・屋外作業=スポーツドリンク/脱水が疑われる・食事摂取が乏しい=経口補水液(ORS)が第一候補。
- 食事は「主食+主菜+副菜+汁物+果物」の基本を崩さず、タンパク質・カリウム・発酵食品・具だくさん味噌汁などで“食べやすく”。
- ビタミンB1(豚肉等)は古典的に推されるが、夏バテ改善の強固な因果エビデンスは限定的。ただしエネルギー代謝に必須ゆえ、不足しない工夫は有用。
- クエン酸(梅干し・酢・柑橘)は「疲労軽減の体感」を後押ししうるが、回復効果の科学的根拠は限定的。食欲増進・料理をさっぱりさせる利点を活用。
- コーヒー・お茶=完全NGではない:適量なら水分摂取源としても有効。まずは合計水分量を確保しよう。
【比較表】夏の飲み物:何をいつ飲む?
飲み物 | 向いている場面 | ポイント | 注意点 |
---|---|---|---|
水・麦茶 | 日常のこまめな補給、在宅・オフィス | 糖分ゼロで日常使い◎。汗を多くかく日は、塩(0.1〜0.2%)や塩タブレット等でナトリウム補完。 | 大量発汗時は電解質不足になりやすい。 |
スポーツドリンク | 屋外活動・運動・作業で汗をかくとき | 水分+糖+電解質をバランスよく補給。(糖質4〜8%が一般的) | 日常のがぶ飲みは糖の過剰に注意。希釈や小分けを。 |
経口補水液(ORS)脱水対応 | 脱水が疑われる/高齢者・子どもの不調時/食事がとれない | ナトリウム濃度が高く糖濃度は低めで吸収効率に優れる。WHO推奨の組成(Na 75 mmol/L 等)。 | 通常時の常用は不要。味が濃いと感じる人も。 |
牛乳・ヨーグルト飲料 | リカバリーや小腹満たし | 水分+タンパク質+電解質を一度に。食欲不振時の“飲む補食”。 | 胃もたれしやすい人は少量から。 |
コーヒー/お茶 | 日常の嗜好飲料として | 適量なら総水分摂取に寄与。まずは合計水分量を確保。 | 遅い時間のカフェインは睡眠質低下に注意。 |
※「0.1〜0.2%の食塩」は100mlあたり0.1〜0.2gの目安。
どのくらい・どう飲む?(タイミングと量)
- のどが渇く前に:起床直後・外出前・帰宅後・入浴前後・就寝前にコップ1杯。
- 活動中:屋外や運動時は15〜20分ごとに数口。体重減少が2%以内に収まるように。
- 脱水が疑われる:経口補水液を優先。意識障害・嘔吐持続・けいれんなどは迷わず救急。
夏バテを防ぐ「食べやすい」食材と献立のコツ
タンパク質は“飲める・冷やせる”形で
- 冷しゃぶ・豚ヒレ/もも(B1を含む)+玉ねぎ・にんにく(アリシン)
- 冷ややっこ/納豆/卵豆腐:火を使わずに主菜を確保
- 魚:ツナ缶・サバ水煮缶はストック◎
副菜・汁物でミネラルと食欲をサポート
- 具だくさん味噌汁(なす・オクラ・豆腐・わかめ)
- 梅・酢・柑橘で酸味をプラス(クエン酸は体感に個人差)
- 果物(スイカ・キウイ・バナナ):水分+カリウムの補給源
コンビニで揃う“夏バテ回避”ワンプレート例
- おにぎり(鮭)+冷ややっこ+カットサラダ+ヨーグルト飲料
- そば(ぶっかけ)+サラダチキン+カットフルーツ+麦茶
- 雑穀おにぎり+ツナ缶(ノンオイル)+味噌汁+キウイ
よくある誤解
- 「B1を多く摂れば夏バテが治る」:代謝に重要だが、夏バテ改善の直接的エビデンスは限定的。まずは総エネルギーとタンパク質、十分な水分と電解質を。
- 「クエン酸で疲労が劇的に回復」:軽減の示唆ありも、回復の決定打ではない。食欲増進や味の工夫として賢く使う。
体験談コラム|「飲み方」を変えたら朝のだるさが激減
編集部K(在宅ワーク/30代)
昨夏は「水はたくさん飲んでいるのに午前中がつらい」状態。見直したのはタイミングと電解質です。起床直後にコップ1杯、在宅でも15〜20分ごとに数口、汗をかいた日はスポーツドリンクを小分けに。食事が軽い日はORSを1本取り入れたところ、朝の頭痛と倦怠感が明らかに減少。また、味噌汁と冷しゃぶでタンパク質を増やしたことで食べられる量は少なくても満足度がアップしました。
よくある質問(エビデンス付き)
Q. コーヒーやお茶は脱水になる?
いいえ、適量なら総水分摂取にカウントできます。従来の「カフェイン=脱水」イメージに反し、中等量のコーヒーは水と同等の水分状態を保てた研究があります。まずは合計の水分量とタイミングを意識してください。
Q. ORS(経口補水液)とスポーツドリンクはどう違う?
ORSはナトリウムが高く糖が低い設計で、水と電解質の吸収を最優先。脱水対応の“治療的飲料”。スポーツドリンクは活動時のエネルギー補給も想定した“運動用飲料”。用途で使い分けましょう。
Q. B1(豚肉・うなぎなど)は摂ったほうがいい?
エネルギー代謝に必須で不足は避けるべきですが、B1摂取が夏バテを直接治すという強い科学的根拠は限られます。バランスの良い食事+十分な水分・電解質が土台です。
今日からできるチェックリスト
- □ 起床・外出・帰宅・入浴・就寝前にコップ1杯
- □ 汗をかく日はスポドリを小分けに(がぶ飲みしない)
- □ 食事が軽い/不調時はORSを1本(通常時は常用しない)
- □ 具だくさんの味噌汁+冷たい主菜でタンパク質を確保
- □ 果物(スイカ・キウイ・バナナ)で水分とカリウムを補う
- □ 酸味(梅・酢・柑橘)で食欲を引き出す
迷ったらこのルール
- 日常:水・麦茶をこまめに+塩分は汗量に応じて。
- 汗だく:スポドリを少量ずつ。
- 不調・脱水疑い:ORSを優先、症状が重ければ受診へ。
出典(主要エビデンス)
- 熱中症予防:こまめな水分・塩分・経口補水液の補給(厚生労働省)。
- スポーツ時の水分補給目安(体重減少2%以内・食塩0.1〜0.2%・糖質4〜8% 等/日本スポーツ協会)。
- 経口補水液(ORS)の組成(Na 75 mmol/L, 低浸透圧型/WHO・Merck Manual)。
- ORSとスポーツドリンクの違い(メーカーFAQの組成説明)。
- コーヒーは適量なら水分源になりうる(中等量コーヒーで脱水なしの研究)。
- ビタミンB1と夏バテの関係(改善を直接示す強い研究は乏しい旨)。
- クエン酸の疲労関連エビデンス(軽減の示唆/回復は限定的)。
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